図解でわかる!イチモンジセセリを見分ける2つの特徴|好む花や食草を植えて庭に招こう
「あの蝶は、何という蝶なのだろう?」
庭や公園で優雅に舞う蝶に出会って、その名前を知りたい、種類を見分けられたらと思ったことはありませんか?
蝶を識別できれば、その蝶が好む植物を庭やベランダに植えて、招くこともできます。
この記事では、「イチモンジセセリ」の生態と、見分けるための2つの特徴を、図解を交えてわかりやすく解説します。
また、イチモンジセセリが好む花や食草についても紹介し、あなたの庭にイチモンジセセリを招くためのアイデアを提案します。
この記事を読めば、次にイチモンジセセリを見かけたとき、きっと自信を持って見分けられるようになり、その魅力をもっと深く楽しむことができるでしょう。
イチモンジセセリの生態や習性
学名: Parnara guttata
科名:セセリチョウ科
サイズ:小型
成虫の出現時期:5~11月(東京近郊)
年間の発生回数:多化性
越冬態:幼虫
分布:北海道(南部)・本州・四国・九州・南西諸島
生息環境:日当たりがよく、やや背丈の高めな草地
幼虫の食草:イネ科
成虫の食性:訪花性が強く、各種の花を訪れる
飛び方:ジグザグにすばやく飛び、目で追えないこともある
温暖な地域で冬を越し、春から秋にかけて個体数を増やしながら北へ分布を広げていくので、関東では春には数が少ないものの、秋にかけて徐々に増加します。
吸蜜や日光浴の際には、前翅を立てて後翅を水平に広げる独特のポーズでとまります。
地味な色合いのため、蛾と間違われることが多いですが、近づいてよく見ると、大きな黒い目が愛らしいです。
オスには吸水行動も見られます。
イチモンジセセリを見分ける2つの特徴
① 全体の色や模様
【表】地色は茶褐色で、白色の斑紋がある
【裏】地色は黄褐色で、白色の斑紋がある
② 白斑の形状
【表】【裏】注目すべきは後翅の白斑で、4つの白班が一列(一文字)に並ぶ
オスかメスかは腹部や翅幅などで識別するが、遠目で見分けるのは難しい。
イチモンジセセリとよく似ている「チャバネセセリ」の記事です。
イチモンジセセリを惹きつける植物
自宅の庭やベランダに蝶を招きたいなら、その蝶を惹きつける植物を植えるのが効果的です。
蝶を惹きつける植物には、「食草」と「蜜源植物」の二種類があります。
幼虫のための食草と成虫のための蜜源植物を両方揃えることで、イチモンジセセリが好んで訪れる庭をつくることができます。
幼虫の食草
蝶の幼虫は特定の植物を食べて成長します。
これらの植物は「食草」や「食樹」と呼ばれます。
蝶のメスは卵を産むために自分たちの食草を探しているので、ガーデンに食草を植えると蝶が訪れる確率がぐっと高まります。
食草は、蝶の種類によって異なります。
イチモンジセセリの幼虫は、イネ科の植物を食草としています。
イネ科の植物には次のようなものがあります。
- イネ
- チガヤ
- ススキ
- エノコログサ(猫じゃらし)
- メヒシバ
- アズマネザサ
- イヌムギ……など
イチモンジセセリの食草には、雑草として扱われているものが多く、一部は地下茎で広がって繁茂するため、庭に植えると手入れが大変になることがあります。
そのため庭植えにはあまり向いていません。
しかし、イネ科の植物は道端や公園などによく見られるため、自宅のまわりに草地があれば、イチモンジセセリが庭に訪れる可能性も高まります。
イチモンジセセリが好む蜜源植物を庭に植えて、訪れるのを待ちましょう。
それでもイネ科の植物を育てて、イチモンジセセリのライフサイクルを観察してみたい場合は、地植えではなく、鉢植えで管理するのがおすすめです。
特にチガヤやエノコログサは、ススキほど大きくならず、かわいらしい穂をつけるので、庭の片隅に鉢植えを置いても自然にガーデンに馴染むと思います。
成虫が好む蜜源植物
蝶の成虫は、花の蜜を主なエネルギー源としています。
しかし、すべての花が蝶にとって魅力的というわけではありません。蝶が好む花にはいくつかの条件があります。
- 蜜が豊富に含まれていること:蝶は蜜の多い花を好みます
- 蜜を吸いやすい形状であること:蝶が簡単に蜜を吸える形状の花が魅力的です
このような蝶が好んで蜜を吸う花を「蜜源植物」や「吸蜜植物」または「吸蜜源植物」と呼びます。
イチモンジセセリに人気があるとされる蜜源植物には、次のようなものがあります。
- バーベナ・ボナリエンシス(サンジャクバーベナ)
- ランタナ / コバノランタナ
- ムシトリナデシコ
- ブッドレア
- 百日草(ジニア)
- オカトラノオ
- アベリア
- ニラ
- コスモス / キバナコスモス
- マリーゴールド
- ブルーサルビア
- 宿根アスター
- シロツメクサ(クローバー) / ムラサキツメクサ
- アザミ……など
この他にも、さまざまな蜜源植物があります。
庭に植える花を選ぶ際には、成虫が活動する5月から11月の間、常に花が咲いている状態を目指して、異なる花期の植物を組み合わせましょう。
また、イチモンジセセリは、熟した果実からも汁を吸うことがあります。
家庭菜園で果物や果菜を育てている場合、いくつかの実を熟したまま残しておくと、イチモンジセセリが吸汁にやってくるかもしれません。
チョウは、花に蜜があるかどうかを紫外線で確認できると言われています。花は紫外線を反射する特殊なパターンを持っており、これが「着陸マーク」となってチョウを誘導します。
それぞれのチョウが好む花の色の研究も進んでいるようです。
私のガーデンでのイチモンジセセリは、ランタナ、コバノランタナ、サンジャクバーベナ、千日紅などでよく吸蜜しているよ。
蝶が好む花「蜜源植物」に関する記事を一覧でご紹介しています。
イチモンジセセリが舞う庭を作るためのヒント
蝶は種類によって生息している環境が異なります。
蝶を庭に招くためには、その蝶が自然に暮らしている環境を参考にすると良いでしょう。
イチモンジセセリは、日当たりのよい、やや草丈が高めの草地によく見られます。
このような生息環境に寄せて庭をデザインしましょう。
- 日当たりと風通しを確保し、庭全体に開放感を持たせる
- イチモンジセセリを惹きつける蜜源植物や食草をバランスよく配置する
- 成虫が活動する5月から11月の間に花が咲き続けるよう、植物の選定と手入れを行う
- 冬には幼虫の越冬対策として、食草に霜よけを施す
さらに、無農薬でのガーデニングを心がけることで、イチモンジセセリにとって安全で快適な環境を提供することができます。
バタフライガーデンづくりの最初の一歩を解説した記事です。
まとめ
イチモンジセセリは、大きな黒目が魅力的な蝶です。
この記事で紹介した2つの特徴を押さえれば、イチモンジセセリを何度か観察するうちに、自信を持って識別できるようになるでしょう。
また、幼虫の食草や成虫の蜜源植物を植えることで、あなたの庭にもイチモンジセセリを招くことができます。
ぜひ、イチモンジセセリが舞う庭づくりに挑戦してみてください。
皆さんのガーデンにやって来たイチモンジセセリの様子や、好んでいる花などについて、ぜひコメントでシェアしていただけると嬉しいです!
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