図解でわかる!ルリタテハを見分ける3つの特徴|好む花や果樹や食草を植えて庭に招こう

「あの蝶は、何という蝶なのだろう?」
庭や公園で優雅に舞う蝶に出会って、その名前を知りたい、種類を見分けられたらと思ったことはありませんか?
蝶を識別できれば、その蝶が好む植物を庭やベランダに植えて、招くこともできます。
この記事では、「ルリタテハ」の生態と、見分けるための3つの特徴を、図解を交えてわかりやすく解説します。
また、ルリタテハが好む花や樹液、果実、食草についても紹介し、あなたの庭にルリタテハを招くためのアイデアを提案します。
この記事を読めば、次にルリタテハを見かけたとき、きっと自信を持って見分けられるようになり、その魅力をもっと深く楽しむことができるでしょう。
ルリタテハの生態や習性

学名: Kaniska canace
科名:タテハチョウ科
サイズ:中型
成虫の出現時期:3~11月(東京近郊)
年間の発生回数:多化性
越冬態:成虫
分布:北海道・本州・四国・九州・南西諸島
生息環境:雑木林や小規模な樹林の周辺など、やや明るい林縁環境
幼虫の食草:ユリ科
成虫の食性:訪花性は低いが、越冬後には花を訪れることもある。
樹液や熟した果実などに好んで集まる
飛び方:すばやく力強く羽ばたきながら飛翔する
ルリタテハは成虫のまま冬を越すため、早春の良く晴れた日には、陽だまりで日光浴をする姿が見られることもあります。
オスは晴れた日の夕方などに、森林の中の開けた空間で縄張り行動(占有行動)をとることもあります。
ルリタテハを見分ける3つの特徴


① 全体の色や模様
【表】全体は瑠璃色をおびた黒色で、水色の帯模様が前翅から後翅までのびる
【裏】暗褐色を基調とした樹皮のような模様
② 黒色×水色
表側の水色の帯模様は、絵の具で線を引いたような印象
③ 樹皮に擬態する翅
翅を閉じて止まっている姿は、樹皮や枯葉に擬態する
オスかメスかは翅の形などで識別するが、遠目で見分けるのは難しい。
「身近なチョウ」の中では、ルリタテハに少し似ている「アオスジアゲハ」や「キタテハ」についての記事です。


ルリタテハを惹きつける植物

自宅の庭やベランダに蝶を招きたいなら、その蝶を惹きつける植物を植えるのが効果的です。
蝶を惹きつける植物には、「食草」と「蜜源植物」の二種類があります。
幼虫のための食草と成虫のための蜜源植物(汁源植物)を両方揃えることで、ルリタテハが好んで訪れる庭をつくることができます。
幼虫の食草

蝶の幼虫は特定の植物を食べて成長します。
これらの植物は「食草」や「食樹」と呼ばれます。
蝶のメスは卵を産むために自分たちの食草を探しているので、ガーデンに食草を植えると蝶が訪れる確率がぐっと高まります。
食草は、蝶の種類によって異なります。
ルリタテハの幼虫は、ユリ科の植物を食草としています。
ルリタテハの幼虫が好んで食草とするユリ科の植物には次のようなものがあります。
- サルトリイバラ
- ホトトギス
- ヤマユリ
- オニユリ
- サツマサンキライ……など
なかでもホトトギスは園芸店で比較的入手しやすく、多年草の植え付けに適した春先や、開花期である初秋に出回ることが多いようです。
数年かけてホトトギスをしっかりとした大株に育てておけば、ルリタテハの幼虫の食欲旺盛さにも十分対応でき、食草が足りなくなる事態を防ぐことができるでしょう。
ただ、市販の苗には、生育促進や病害虫対策のために農薬が使用されていることがあり、その点には注意が必要です。
農薬の影響は時間とともに薄れていくため、購入後しばらくは植え付けと育成に専念し、植物がしっかり育った頃に食草として提供し始めると良いでしょう。
なお、オニユリやヤマユリは、ルリタテハの食草となるだけでなく、アゲハチョウの仲間が蜜を吸いに訪れることもあり、バタフライガーデンに彩りを加える植物としてもおすすめです。
これらのユリ科植物をルリタテハの食草として育てるなら、日当たりが良すぎない、やさしい光の当たる場所に植えるのが向いています。

食草が足りなくなってからあちこち探し回るのは大変なので、余裕をもって多めに育てておくことをおすすめします。
ルリタテハの幼虫はトゲトゲが多くあり、ちょっと毒々しくも見えますが、人間には無害で、触っても大丈夫なようです。
ユリ科の食草については、下の記事で詳しく紹介しています。

成虫が好む蜜源植物(汁源植物)

蝶の成虫は、花の蜜を主なエネルギー源とする種類が多いですが、ルリタテハは花を吸蜜するよりも、樹液や熟した果実を吸汁することを好みます。
ルリタテハに人気があるとされる樹液や熟した果実には、次のようなものがあります。
- クヌギの樹液
- コナラの樹液
- アキニレの樹液
- ヤナギの樹液
- ミズナラの樹液
- 熟した柿の果実
- 熟したバナナの果実……など
ルリタテハは普段はあまり花に興味を示しませんが、越冬後には花を訪れることもあります。
ルリタテハが訪れることもある蜜源植物には、次のようなものがあります。
- アセビ
- キブシ
- ミツマタ……など
この他にも、さまざまな蜜源植物があります。
蝶が好む花「蜜源植物」に関する記事を一覧でご紹介しています。

ルリタテハが舞う庭を作るためのヒント

蝶は種類によって生息している環境が異なります。
蝶を庭に招くためには、その蝶が自然に暮らしている環境を参考にすると良いでしょう。
ルリタテハは、雑木林や小規模な樹林の周辺など、やや明るい林縁環境によく見られます。このような生息環境に寄せて庭をデザインしましょう。
- 樹木や灌木などで、強い日差しを避けられる木陰をつくる
- 日当たりと風通しの良い、見晴らし台のような場所もあるとよい
- ルリタテハの食草は日当たりが良すぎない場所に配置する
さらに、無農薬でのガーデニングを心がけることで、ルリタテハにとって安全で快適な環境を提供することができます。
バタフライガーデンづくりの最初の一歩を解説した記事です。

まとめ

ルリタテハは、翅の表と裏のギャップが魅力的な蝶です。
この記事で紹介した3つの特徴を押さえれば、ルリタテハを何度か観察するうちに、自信を持って識別できるようになるでしょう。
また、幼虫の食草や成虫の蜜源植物(汁源植物)を植えることで、あなたの庭にもルリタテハを招くことができます。
ぜひ、ルリタテハが舞う庭づくりに挑戦してみてください。
皆さんのガーデンにやって来たルリタテハの様子や、好んでいる花などについて、ぜひコメントでシェアしていただけると嬉しいです!
「身近なチョウ」に関する記事を一覧でご紹介しています。
