図解でわかる!クロアゲハを見分ける3つの特徴|好む花や食草を植えて庭に招こう
「あの蝶は、何という蝶なのだろう?」
庭や公園で優雅に舞う蝶に出会って、その名前を知りたい、種類を見分けられたらと思ったことはありませんか?
蝶を識別できれば、その蝶が好む植物を庭やベランダに植えて、招くこともできます。
この記事では、「クロアゲハ」の生態と、見分けるための3つの特徴を、図解を交えてわかりやすく解説します。
また、クロアゲハが好む花や食草についても紹介し、あなたの庭にクロアゲハを招くためのアイデアを提案します。
この記事を読めば、次にクロアゲハを見かけたとき、きっと自信を持って見分けられるようになり、その魅力をもっと深く楽しむことができるでしょう。
クロアゲハの生態や習性
学名: Papilio protenor
科名:アゲハチョウ科
サイズ:大型
成虫の出現時期:4~10月(東京近郊)
年間の発生回数:多化性
越冬態:蛹
分布:本州(北部では稀)・四国・九州・南西諸島
生息環境:やや薄暗い場所を好む
幼虫の食草:ミカン科
成虫の食性:訪花性が高い
飛び方:飛翔時には大きく羽ばたき、植物に近づく際には滑空する
クロアゲハは、最も身近な黒色のアゲハチョウです。
やや薄暗い環境を好むので、曇りの日や朝夕に活動が活発になる傾向があります。
オスは川原や路上で「吸水」を行い、「蝶道」を形成することでも知られています。
蝶道とは、特定のルートを繰り返し飛ぶ習性のことで、食草や蜜源植物の位置、日当たりなどが影響しているようです。
もし自宅の庭やベランダが蝶道の一部になれば、繰り返しクロアゲハを観察できるかもしれません。
クロアゲハを見分ける3つの特徴
① 全体の色や模様
【表】オスは、表のほぼ全体が黒色
メスは、やや茶褐色を帯びた黒色で、前翅の黒条が目立つ
後翅外縁の三日月型の赤班は、オスはほとんどなく、メスは発達している
【裏】オスメスともに前翅の地色は表よりも淡く、黒条が目立つ
後翅外縁の三日月型の赤班は、オスにもはっきり見られるが、メスではさ らに発達している
② 尾状突起
太い尾状突起がある
③ オスとメスの違い
【表】オスは後翅の前縁に白い横長の線がある
夏型は春型より大きい。
クロアゲハとよく似ている「ナガサキアゲハ」の生態や見分け方の記事です。
クロアゲハを惹きつける植物
自宅の庭やベランダに蝶を招きたいなら、その蝶を惹きつける植物を植えるのが効果的です。
蝶を惹きつける植物には、「食草」と「蜜源植物」の二種類があります。
幼虫のための食草と成虫のための蜜源植物を両方揃えることで、クロアゲハが好んで訪れる庭をつくることができます。
幼虫の食草
蝶の幼虫は特定の植物を食べて成長します。
これらの植物は「食草」や「食樹」と呼ばれます。
蝶のメスは卵を産むために自分たちの食草を探しているので、ガーデンに食草を植えると蝶が訪れる確率がぐっと高まります。
食草は、蝶の種類によって異なります。
クロアゲハの幼虫は、ミカン科の植物を食草としています。
ミカン科の植物には次のようなものがあります。
- ミカン
- キンカン
- ユズ
- レモン
- カラタチ
- サンショウ
- カラスザンショウ……など
バタフライガーデンに取り入れる植物としては、ミカンやキンカンなどの柑橘類の樹木がおすすめです。これらは苗が手に入りやすく、冬には果実も楽しめます。
植え付けの適期である3~4月ごろには、園芸店やホームセンターで多くの種類の柑橘の苗が並びます。
庭に地植えすれば、樹木は大きく育ち、多くの幼虫を養うことができます。
地植えのスペースがない場合でも、大きめの鉢に植えることで、しっかりと育ち、実もつけることが可能です。いくつかの種類の柑橘類の鉢を並べて育てるのも楽しいアイデアですよね。
ただ、苗が小さいうちは、幼虫の食欲が勝ってしまい、葉が食べ尽くされることもあります。そのため、苗が大きく育つまでは、ネットをかけて保護するなどの工夫をして、樹木をしばらく養生させると良いでしょう。
クロアゲハは、アゲハよりもやや薄暗い環境を好みます。食草の付近も、少し薄暗いかんじを演出できるよう工夫をすると、クロアゲハが集まりやすくなります。
私の庭では、キンカンを明るい場所に植えているので、どちらかというとアゲハがよく産卵に訪れています。
ミカン科の食草については、下の記事で詳しく紹介しています。
成虫が好む蜜源植物
蝶の成虫は、花の蜜を主なエネルギー源としています。
しかし、すべての花が蝶にとって魅力的というわけではありません。蝶が好む花にはいくつかの条件があります。
- 蜜が豊富に含まれていること:蝶は蜜の多い花を好みます
- 蜜を吸いやすい形状であること:蝶が簡単に蜜を吸える形状の花が魅力的です
このような蝶が好んで蜜を吸う花を「蜜源植物」や「吸蜜植物」または「吸蜜源植物」と呼びます。
クロアゲハに人気があるとされる蜜源植物には、次のようなものがあります。
- ブッドレア(バタフライブッシュ)
- バーベナ・ボナリエンシス(サンジャクバーベナ)
- バーベナ・リギダ
- ムシトリナデシコ
- ヒャクニチソウ(ジニア)
- ヒガンバナ
- ランタナ / コバノランタナ
- ヤマユリ
- ツツジ……など
この他にも、さまざまな蜜源植物があります。
庭に植える花を選ぶ際には、成虫が活動する4月から10月の間、常に花が咲いている状態を目指して、異なる花期の植物を組み合わせましょう。
クロアゲハのような大型の蝶は、小さな花が集まっているタイプの花だけでなく、大きなつくりの花からも蜜を吸うことができます。
また、大型の蝶はある程度の高さがある花を好むように思います。草丈が高い植物や低木を植えたり、鉢植えの花を少し高い位置に配置したりすることで、大型の蝶を引き寄せる効果が期待できます。
チョウは、花に蜜があるかどうかを紫外線で確認できると言われています。花は紫外線を反射する特殊なパターンを持っており、これが「着陸マーク」となってチョウを誘導します。
それぞれのチョウが好む花の色の研究も進んでいるようです。
私の庭でのクロアゲハは、やや薄暗い所に植えてあるメドーセージ、オオムラサキツツジでよく吸蜜しているよ。
蝶が好む花「蜜源植物」に関する記事を一覧でご紹介しています。
クロアゲハが舞う庭を作るためのヒント
蝶は種類によって生息している環境が異なります。
蝶を庭に招くためには、その蝶が自然に暮らしている環境を参考にすると良いでしょう。
クロアゲハは、日当たりの良い場所にも現れますが、木陰のあるやや薄暗い環境を好みます。このような生息環境に寄せて庭をデザインしましょう。
- 大型の蝶が羽ばたいたり滑空したりできる空間を確保する
- 庭の一角に樹木などを配置し、木陰の多い場所をつくる
- クロアゲハを惹きつける蜜源植物や食草をバランスよく配置する
- 成虫が活動する4月から10月の間に花が咲き続けるよう、植物の選定と手入れを行う
さらに、無農薬でのガーデニングを心がけることで、クロアゲハにとって安全で快適な環境を提供することができます。
バタフライガーデンづくりの最初の一歩を解説した記事です。
まとめ
クロアゲハは、漆黒の美しい翅を持つ身近な蝶です。
この記事で紹介した3つの特徴を押さえれば、クロアゲハを何度か観察するうちに、自信を持って識別できるようになるでしょう。
また、幼虫の食草や成虫の蜜源植物を植えることで、あなたの庭にもクロアゲハを招くことができます。
ぜひ、クロアゲハが舞う庭づくりに挑戦してみてください。
皆さんのガーデンにやって来たクロアゲハの様子や、好んでいる花などについて、ぜひコメントでシェアしていただけると嬉しいです!
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