図解でわかる!ツマキチョウを見分ける3つの特徴|好む花や食草を植えて庭に招こう

「あの蝶は、何という蝶なのだろう?」
庭や公園で優雅に舞う蝶に出会って、その名前を知りたい、種類を見分けられたらと思ったことはありませんか?
蝶を識別できれば、その蝶が好む植物を庭やベランダに植えて、招くこともできます。
この記事では、「ツマキチョウ」の生態と、見分けるための3つの特徴を、図解を交えてわかりやすく解説します。
また、ツマキチョウが好む花や食草についても紹介し、あなたの庭にツマキチョウを招くためのアイデアを提案します。
この記事を読めば、次にツマキチョウを見かけたとき、きっと自信を持って見分けられるようになり、その魅力をもっと深く楽しむことができるでしょう。
ツマキチョウの生態や習性

学名: Anthocharis scolymus
科名:シロチョウ科
サイズ:中型
成虫の出現時期:3~5月(東京近郊)
年間の発生回数:年1化
越冬態:蛹
分布:北海道・本州・四国・九州
生息環境:明るく開けた林縁環境
幼虫の食草:アブラナ科
成虫の食性:各種の花を訪れる
飛び方:小刻みに羽ばたきながら、低く、直線的に、ゆるやかに飛ぶ
ツマキチョウは年に一度だけ世代交代する年1化のチョウで、春にぜひ出会いたい種類のひとつです。
初夏に蛹になると、翌年の春までじっと休眠したまま過ごします。
食草が生えていた周辺の植物を剪定する際は、蛹が付いていないか確認してから作業するとよいでしょう。
ツマキチョウを見分ける3つの特徴


① 全体の色や模様
【表】全体は白色で、前翅の中央部に黒斑がある
【裏】後翅の裏には、唐草模様のような苔色の雲状の模様がある
② 前翅の先はかぎ状にとがる
前翅の先(翅頂部)が、かぎ状にツンととがった形をしている
③ オスとメスの識別
表前翅の先のとがった部分が、オスは黄橙色、メスは白色
モンシロチョウよりやや小ぶり
「身近なチョウ」の中では、ツマキチョウに似ている「モンシロチョウ」や「スジグロシロチョウ」についての記事です。


ツマキチョウを惹きつける植物

自宅の庭やベランダに蝶を招きたいなら、その蝶を惹きつける植物を植えるのが効果的です。
蝶を惹きつける植物には、「食草」と「蜜源植物」の二種類があります。
幼虫のための食草と成虫のための蜜源植物を両方揃えることで、ツマキチョウが好んで訪れる庭をつくることができます。
幼虫の食草

蝶の幼虫は特定の植物を食べて成長します。
これらの植物は「食草」や「食樹」と呼ばれます。
蝶のメスは卵を産むために自分たちの食草を探しているので、ガーデンに食草を植えると蝶が訪れる確率がぐっと高まります。
食草は、蝶の種類によって異なります。
ツマキチョウの幼虫は、アブラナ科の植物を食草としています。
ツマキチョウの幼虫が好んで食草とするアブラナ科の植物には次のようなものがあります。
- タネツケバナ
- イヌガラシ
- ハタザオ
- ムラサキハナナ(オオアラセイトウ / ショカッサイ)
- セイヨウカラシナ
- ナノハナ
- ノラボウナ
- コマツナ……など
ツマキチョウは、野生種を特に好みますが、園芸種にもやって来ます。
園芸店でも多くの種類のアブラナ科野菜の苗が出回っていますが、販売されている苗には、生育促進や病害虫対策のために農薬が使用されていることがあり、その点に注意が必要です。
無農薬で栽培された苗を手に入れるのは難しいかもしれません。
そのため、種から育てることをおすすめします。
園芸店ではさまざまな種類のアブラナ科野菜の種が手に入りますし、道端や公園で見かけたアブラナ科の野草から種を採取して蒔くことも可能です。
バタフライガーデンでツマキチョウを招くのにおすすめなのは、ムラサキハナナ( オオアラセイトウ / ショカッサイ)です。
園芸店でも種が手に入り、薄紫色の花が楽しめて、庭にも自然と調和します。
多くの来訪が期待できるモンシロチョウも共に招きたいなら、ナノハナやノラボウナなどの大株になる品種がおすすめです。
秋に種を蒔き、地植えや大きな鉢で育てるると、春に花が咲くころには草丈が1mくらいになり、葉も大きく、たくさんの幼虫を養うことができます。
花の姿は少し暴れる感じはありますが、背丈の高い草花としてボーダーガーデンや立体的なレイアウトにすれば、庭に自然になじむでしょう。
ツマキチョウの卵は食草の花穂に産み付けられて、幼虫は蕾や花、若い実を好んで食べ、成長していきます。

私の庭でのツマキチョウは、ノラボウナ、ナノハナ、ムラサキハナナを食草として利用していたよ。
アブラナ科の食草については、下の記事で詳しく紹介しています。

成虫が好む蜜源植物

蝶の成虫は、花の蜜を主なエネルギー源としています。
しかし、すべての花が蝶にとって魅力的というわけではありません。蝶が好む花にはいくつかの条件があります。
- 蜜が豊富に含まれていること:蝶は蜜の多い花を好みます
- 蜜を吸いやすい形状であること:蝶が簡単に蜜を吸える形状の花が魅力的です
このような蝶が好んで蜜を吸う花を「蜜源植物」や「吸蜜植物」または「吸蜜源植物」と呼びます。
ツマキチョウに人気があるとされる蜜源植物には、次のようなものがあります。
- ナノハナなどアブラナ科野菜の花 / ムラサキハナナ
- タンポポ
- レンゲ
- ムラサキケマン
- オオイヌノフグリ……など
この他にも、さまざまな蜜源植物があります。
庭に植える花を選ぶ際には、成虫が活動する3月から5月、早春から初夏にかけて花を咲かせる植物を、何種類か組み合わせましょう。
ツマキチョウは大ぶりな花よりも、小花が密集したタイプの花を好むように思います。
ナノハナなどアブラナ科植物は、食草としても、蜜源植物としても、ツマキチョウに大人気です。
チョウは、花に蜜があるかどうかを紫外線で確認できると言われています。花は紫外線を反射する特殊なパターンを持っており、これが「着陸マーク」となってチョウを誘導します。
チョウが好む花の色の研究もされていて、一説によると、シロチョウは黄~白系、青~紫系の色の花を特に好む傾向があるようです。
赤い色は見えていないようです。

私の庭でのツマキチョウは、ナノハナ、ノラボウナ、ブロッコリーなどで吸蜜しているよ。
蝶が好む花「蜜源植物」に関する記事を一覧でご紹介しています。

ツマキチョウが舞う庭を作るためのヒント

蝶は種類によって生息している環境が異なります。
蝶を庭に招くためには、その蝶が自然に暮らしている環境を参考にすると良いでしょう。
ツマキチョウは、公園や農地周辺の明るい草原によく見られます。このような生息環境に寄せて庭をデザインしましょう。
- 日当たりと風通しを確保し、庭全体に開放感を持たせる
- ツマキチョウを惹きつける蜜源植物や食草をバランスよく配置する
- 蛹の期間がとても長いので、食草の近くには、蛹が長期間付いていても安定する小枝のある灌木などを植栽したい
- 花が少ない早春の時期に咲く蜜源植物を準備しておきたい
さらに、無農薬でのガーデニングを心がけることで、ツマキチョウにとって安全で快適な環境を提供することができます。
バタフライガーデンづくりの最初の一歩を解説した記事です。

まとめ

ツマキチョウは、春の妖精とも呼ばれ、春に出会えるのがとても楽しみな蝶です。
この記事で紹介した3つの特徴を押さえれば、ツマキチョウを何度か観察するうちに、自信を持って識別できるようになるでしょう。
また、幼虫の食草や成虫の蜜源植物を植えることで、あなたの庭にもツマキチョウを招くことができます。
ぜひ、ツマキチョウが舞う庭づくりに挑戦してみてください。
皆さんのガーデンにやって来たツマキチョウの様子や、好んでいる花などについて、ぜひコメントでシェアしていただけると嬉しいです!
「身近なチョウ」に関する記事を一覧でご紹介しています。
