ブッドレア(バタフライブッシュ)は蝶が好きな花!特に好まれる種類の紹介や育て方、挿し木について

ブッドレアと蝶のデザイン画01
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素敵な庭をつくりたいと思うガーデナーにとって、蝶が舞うバタフライガーデンは夢の一つですよね。

蝶を招く庭づくりは、蝶が庭に彩りを添えてくれるだけでなく、自然の生態系をも豊かにしていきます。

今回は、バタフライガーデンにおすすめの植物として、「ブッドレア」を紹介します。

ブッドレアは、「バタフライブッシュ」とも呼ばれ、その名の通り、多くの蝶を引き寄せる魅力を持っています。

ブッドレアを庭に取り入れることで、蝶が集まる美しい庭を簡単につくることができると言えてしまうくらい、バタフライガーデンの中心的な存在として非常に人気があります。

蝶が好む花を植えれば、住宅地の庭やベランダにも、蝶はやって来てくれますよ!

この記事では、ブッドレアの中でも特に蝶に好まれる種類の紹介や、その育て方と挿し木について詳しく紹介します。

また、後半では、より多くの蝶をガーデンに招くためのポイントについても触れています。

ブッドレアをガーデンに植え、花と蝶たちが織りなす美しいバタフライガーデンをつくってみませんか?

蝶が好きな花、ブッドレア

ブッドレア01
ブッドレアの基本情報

学名: Buddleja

英名::Butterfly Bush / Summer Lilac

和名:フサフジウツギ(房藤空木)

科名:ゴマノハグサ科 フジウツギ属

原産地:中国など(温帯から亜熱帯地域)

形態:落葉性の灌木(低木)

草丈/樹高:1~3m

開花期:6~11月

耐寒性:強い

耐暑性:強い

ブッドレアにはたくさんの仲間がありますが、日本の園芸店などで流通しているブッドレアの多くは、ブッドレア・ダビディBuddleja davidii)という種類です。

ブッドレアは、その豊富な蜜と香りで、蝶や蜂などのポリネーター花粉媒介者)を強く引き寄せます。

蝶はブッドレア全般にやって来るとは思いますが、その中でも特に蝶に好まれる品種を選ぶのがオススメです。

蝶が特に好む種類は、原種に近いブッドレア

ブッドレア(バタフライブッシュ)03

蝶にとって理想的な訪花対象は、良質な蜜が多い花です。

蜜が豊富なのは、あまり改良が進んでいない品種です。

品種改良は、美しい見た目にするためや、育てやすい強健な性質を手に入れるためなど、人間にとっての有用性を目的に行われています。

その過程で、蜜が退化していくことも多く、園芸品種の中には蜜で昆虫を惹きつけなくなってしまっている花もあるそうです。

蝶と共に楽しむという観点からブッドレアを選ぶ場合は、原種のブッドレアに近いものを選ぶと良いでしょう。

原種のブッドレア・ダビディBuddleja davidii)は、1.5~3mくらいの樹高で、花色は紫色や薄紫色です。

園芸店などで流通している苗の多くは、原種ではなく園芸種なので、その中から、原種の面影がよく残っている品種を選ぶと良いでしょう。

そうは言っても、ブッドレアはそもそもが蝶にとても人気が高い植物なので、様々な園芸種全般にやって来るとは思います。

好みの花色や品種がある方は、そちらを優先させても、蝶の訪花を期待できると思います。

原種のブッドレアに近いであろう目印
  • 背が高くなる(矮性ではない)
  • 色は紫色や薄紫色

蝶は蜜を紫外線や花色で見つける

蝶は紫外線を見ることができるため、人間とは違う色彩の世界を見ています。

紫外線によって蜜があるかどうかを見分ける能力があり、同時に、優れた色覚を持つため、色でも花を見分けています。

蝶の種類によって好む色が違うとも言われているので、どの花色にどんな蝶がよく来ているか観察してみるのも楽しいですよ。

ブッドレアの蜜を吸うアゲハチョウ
ブッドレアの蜜を吸うアゲハ

ブッドレアには中型~大型の蝶がよくやって来る

蝶は小型のものは地面近くで活動し、大型のものは高く舞い上がる傾向があります。

おすすめのブッドレアは、中~高性の背丈に花を咲かせるものが多く、中型から大型のサイズの蝶が蜜を吸う姿がよく見られます。

ブッドレアは日当たりの良い場所で栽培する植物なので、日当たりを特に好む蝶が多く訪れます。

ブッドレアの育て方

ブッドレアと蝶のデザイン画02

ブッドレアを美しく健康に育てるためには、適切な植え方と丁寧なケアが必要です。

特にバタフライガーデンでは、農薬を使えないため、予防が大切です。

花を長く楽しむためにも、適切な管理を行いましょう。

ブッドレアは、「生態系被害防止防止外来種リスト」の重点対策外来種に含まれています。

庭から種子が広がって野生化しないように、花ガラ摘みなどをきちんと行いましょう。

ブッドレアを健康に育てるための覚書

ブッドレアは丈夫な植物で、比較的育てやすいです。

以下のポイントを押さえて丈夫で健康に育ててください。

  • 日当たりを好む、よく日光に当てた方が花付きが良くなる
  • 加湿にならないよう、水はけのよい土づくりをする
  • 乾燥には強い方だが、鉢植えの場合は、夏場に乾燥しすぎないよう注意して水やりする
  • あまり肥料を必要としないが、開花期間が長いので、適宜施肥する
  • 新芽が動き出す3月頃までに剪定して樹形を整える

ブッドレアは灌木(低木)なので地植え栽培が向いていますが、大きめの植木鉢であれば育てることができ、樹高が抑えられ、コンパクトに仕立てられます。

春に伸びた枝に花芽がついて開花するので、新芽が動き出す3月頃までに樹形が乱れないように剪定しておきます。

低めの位置にも花が付くように剪定しておくと、小型の蝶も利用しやすいと思います。

ブッドレアの蜜を吸う蝶
ブッドレアの蜜を吸うモンキチョウ

バタフライガーデンでは病害虫の予防が大切

蝶のようなサイズの命は農薬の影響を受けやすいため、バタフライガーデンでは農薬を使用しないようにします。

植物が病気になる前の予防に努めましょう

ブッドレアがかかりやすい病気

ブッドレアは比較的病気に強く、注意が必要な病気はあまりありません。

一般に、病気は泥跳ね密植加繁茂多湿などが原因となることが多いので、念のため、それらの点に気を配っておくと良いでしょう。

ブッドレアにつきやすい虫

定期的に植物を観察し、大きな問題を引き起こすような虫がついていないかチェックすることも重要です。

ブッドレアは比較的虫の被害は少ないですが、次の虫には注意が必要です。

  • アブラムシ
  • バッタ

害虫のためにできる工夫

新芽の先や蕾にアブラムシがついているときは、水をかけて洗い流しながら、やさしく手で取り除きます。

アブラムシがたくさんついてしまって困っているときには、テントウムシに助けてもらいましょう

ナナホシテントウナミテントウといったテントウムシは、成虫も幼虫もアブラムシを食べます。

テントウムシがやって来てくれて、繁殖してくれれば、アブラムシの問題はすぐに解決します。

困ったときには、テントウムシを探してみましょう。

にゃらっぱ
にゃらっぱ

テントウムシを見かけたら、アブラムシがたくさんついてしまっているところへ、そっと移動してもらうといいですよ。

成虫は翅があるので気ままに飛んで行ってしまいますが、幼虫には翅がないので、そこに留まってくれます。

テントウムシと花

また、ブッドレアの株が小さい時は、バッタにも注意してください。

オンブバッタなどが葉を食べてしまうことがあります。

まだ株が小さく葉が少ない頃は、大きなダメージを受けてしまいます。

被害にあっている場合は、バッタに移動してもらってから、虫よけネットなどで囲ってある程度大きく育つまで保護すると良いでしょう。

ブッドレアの増やし方

ブッドレアと蝶のパターン模様02

ブッドレアは挿し木で増やすのが一般的です。

種まきは発芽率の低さもあり、やや難しいです。

挿し木

ブッドレアは挿し木によって簡単に増やすことができます。

最適な時期は、初夏です。(初秋も可能)

2~3節ほどに切って水あげした茎を、挿し木用土などの清潔な土に挿します。

発根促進剤などを使いたい場合いは、メネデールなど農薬扱いではない商品がオススメです。

葉が大きい場合は、蒸散を防ぐために半分ぐらいにカットすると良いでしょう。

発根するまでは、挿し床が乾かないように管理します。

通常、2~4週間で発根します。

根がしっかりと張ったら、通常のポットに植え替え、徐々に日光に慣らします。

植え替えで根を崩してしまう恐れがある場合は、真夏は避け、秋になってから行います。

霧吹き

より効果的に蝶を招くには

バタフライガーデン13

ブッドレアは蝶にとって非常に魅力的な植物ですが、他の蝶を惹きつける植物も組み合わせて植えることで、より豊かなバタフライガーデンをつくることができます。

蝶を惹きつける植物には、大きく分けて「蜜源植物」と「食草」の二種類があります。

ブッドレアと一緒に植えたい、蝶の蜜源植物

バタフライガーデンをつくる上で重要なポイントの一つは、蝶が好む花蜜源植物」を選んで植えることです。

蝶の蜜源植物には、身近なものがたくさんあります。

身近な夏の一年草
  • 百日草(ジニア)
  • 千日紅
  • コスモス / キバナコスモス
  • マリーゴールド
  • ブルーサルビア
  • メランポジウム
宿根草
  • フロックス
  • モナルダ(タイマツバナ)
  • リアトリス
  • フジバカマ
  • エキナセア
バタフライガーデンの鉄板植物
  • バーベナ・ボナリエンシス / バーベナ・リギダ
  • ランタナ / コバノランタナ
  • ムシトリナデシコ(コマチソウ)

蜜源植物は、この他にもまだまだあります。

いくつか組み合わせて植えることで、蝶にとって、より魅力的なガーデンをつくることができます。

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蝶を呼ぶ力は、食草が最強

幼虫が食べた痕のある葉01

蝶の幼虫は特定の植物を食べて成長します。

それらの植物のことを「食草」や「食樹」といいます。

蝶のメスは卵を産むために自分たちの食草を探しているため、食草を植えることで、蝶がやって来る確率はぐっと高まります。

蝶の種類によって、食草の種類も違います。

例えば、アゲハチョウならミカン科の植物、モンシロチョウならアブラナ科の植物が食草です。

住宅地の庭やベランダにもやって来る「身近なチョウ」の中で、ガーデンに呼んでみたい蝶がいるのなら、その蝶の食草を植えてみてください。

幼虫が苦手でない方には、オススメの方法です。

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蝶が好む環境作り

日当たりのよいナチュラルガーデン01

バタフライガーデンを魅力的なものにするためには、蝶が好む環境を整えることも重要です。

例えば、日当たりや植物の茂り具合を蝶の生息環境に寄せてデザインしたり、休憩場や風よけとなる低木や茂みをつくったり、自然と調和するエコなガーデニングを模索したり。

あれかこれかと、蝶のおもてなしを考え出すと、楽しみは尽きません。

お庭やベランダを、バタフライガーデンに

鉢植えのあるバタフライガーデン04

この記事では、蝶が好むブッドレアの種類や栽培法、より多くの蝶をガーデンに招くためのポイントについてご紹介しました。

ブッドレアは、蝶にとって魅力的な花であり、ガーデンに植えることで、多くの蝶を引き寄せることができます。

植物は本来、蝶や蜂などの受粉者を引き寄せるために花を咲かせています。

バタフライガーデンでは、植物や蝶の美しさを堪能できるだけでなく、自然の営みの中に、自分が一員として繋がっているような喜びを感じることができます。

蝶が好むブッドレアをガーデンの一角に植えることから、バタフライガーデニングを始めてみませんか?

バタフライガーデンづくりの最初の一歩はこちらの記事からどうぞ。

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にゃらっぱ
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ガーデナー
園芸店などで苗に一目惚れすると買わずにはいられなくなってしまい、庭が大変混雑してしまっているガーデナー。

年々、自然との調和がとれるガーデニングに喜びを感じるようになり、今はバタフライガーデンづくりに夢中。

庭にやって来た蝶がおいしそうに蜜を吸っているのを見ると、至福!

今日も今日とて蝶を招いている。
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