コスモスは蝶が好きな花!特に好まれる種類の紹介や育て方、種まきについて
コスモスは、日本の秋の風物詩として、各地に花畑がつくられています。
園芸店にも魅力的な種類がたくさん並んでいて、多くのガーデナーに愛されていますよね。
しかし、それだけではありません。
コスモスは蝶にとっても魅力的な花なのです。
コスモスは花の蜜が豊富で、蝶が蜜を吸いやすい花の形をしているので、蜜源植物として蝶からも好まれています。
蝶が好きな花を植えると、住宅地の庭やベランダにも蝶はやって来ます。
お庭やベランダに蝶が舞う光景は、ガーデニングの楽しさを一層引き立ててくれるでしょう。
この記事では、コスモスの中でも特に蝶に好まれる種類の紹介や、その育て方のポイントについて詳しく紹介します。
また、後半では、より多くの蝶をガーデンに招くための具体的な方法についても触れています。
コスモスをガーデンに取り入れて、花と蝶たちが織りなす美しいバタフライガーデンをつくってみませんか?
蝶が好きな花、コスモス
バタフライガーデンをつくる上で重要なポイントの一つは、蝶が好む花を選ぶことです。
おすすめしたいの花の一つが、コスモス(Cosmos)です。
コスモスはキク科の一年草または多年草で、メキシコ原産です。
耐暑性は普通ですが、寒さには弱く越冬しません。
日本の秋の風物詩として馴染み深く、公園や河原、休耕田などに植えられたコスモスの花畑は、多くの人に楽しまれています。
蝶はコスモス全般にやって来るとは思いますが、その中でも特に蝶に好まれる品種を選ぶのがオススメです。
蝶が特に好む種類は、昔ながらのコスモス
蜜が多くて良質な花が、蝶にとって理想的な訪花対象となります。
蜜が豊富なのは、あまり改良が進んでいない品種です。
品種改良は、美しい見た目にするためや、育てやすい強健な性質を手に入れるためなど、人間にとっての有用性を目的に行われています。
その過程で、蜜が退化していくことも多く、園芸品種の中には蜜で昆虫を惹きつけなくなってしまっている花もあるようです。
蝶と共に楽しむという観点からコスモスを選ぶ場合は、原種のコスモスに近いものを選ぶと良いでしょう。
園芸で馴染みのあるコスモスの原種には次のようなものがあります。
オオハルシャギク(Cosmos bipinnatus)
- 最も一般的な種類で、「コスモス」といえばこの種を指します。多くの園芸品種がこの原種から派生しています。花色は白、ピンク、赤紫など多彩です。本来の開花期は秋で、日が短くなると花芽をつける短日植物の代表としても知られています。和名は秋桜(アキザクラ)。
キバナコスモス(Cosmos sulphureus)
- オオハルシャギクに比べて暑さに強く、夏から秋にかけてよく咲きます。黄色やオレンジ色の花を咲かせます。葉幅がオオハルシャギクより広め。
チョコレートコスモス(Cosmos atrosanguineus)
- 濃い赤茶色の花を咲かせ、チョコレートのような香りが特徴的です。多年草(宿根草)で、耐寒性がありますが、他のコスモスに比べると少し育てにくいです。
蝶からの人気が高いのはオオハルシャギクとキバナコスモスで、チョコレートコスモスは人気が落ちるようです。
園芸店などで流通している苗や種は、原種ではなく園芸種が多いと思います。
その中から、原種の面影がよく残っている品種を選ぶと良いでしょう。
- 背が高くなる
- 色や形がシンプル
- 花時は晩夏~晩秋(早すぎない)
蝶は蜜を紫外線や花色で見つける
蝶は紫外線を見ることができるため、人間とは違う色彩の世界を見ています。
紫外線によって蜜があるかどうかを見分ける能力があり、同時に、優れた色覚を持つため、色でも花を見分けています。
蝶の種類によって好む色が違うとも言われているので、どの花色にどんな蝶がよく来ているか観察してみるのも楽しいですよ。
コスモスには中型~大型の蝶がよくやって来る
蝶は小型のものは地面近くで活動し、大型のものは高く舞い上がる傾向があります。
おすすめのコスモスは、中~高性の背丈のものが多く、中型から大型のサイズの蝶が蜜を吸う姿が見られます。
コスモスは日当たりの良い場所で栽培する植物なので、日当たりを特に好む蝶が多く訪れます。
コスモスの育て方
コスモスを美しく健康に育てるためには、適切な植え方と丁寧なケアが必要です。
特にバタフライガーデンでは、農薬を使えないため、予防が大切です。
花を長く楽しむためにも、適切な管理を行いましょう。
コスモスを健康に育てるための覚書
コスモスは丈夫な植物で、比較的育てやすいです。
以下のポイントを押さえて丈夫で健康に育てましょう。
- 日当たりを好む、よく日光に当てた方が花付きが良くなる
- あまり土質は選ばないが、加湿を嫌うので、水はけを良くする
- うどんこ病を防ぐためにも、風通しを良くする
- 庭植えでは、肥料を施しすぎると葉が茂りすぎてしまうので注意
- 草丈が高くなると倒れやすいので、適宜支柱を立てる
- 摘心を繰り返しながら育てると、草丈を低く仕立てることができる
荒業として、わざと茎を横倒しにしてしまい、わき芽を出させ、低い位置で花を咲かせる方法もあります。
低い位置で花が咲くと、小型の蝶も利用しやすくなりますね。
バタフライガーデンでは病害虫の予防が大切
蝶のようなサイズの命は農薬の影響を受けやすいため、バタフライガーデンでは農薬を使用しないようにします。
植物が病気になる前の予防に努めましょう。
コスモスがかかりやすい病気
コスモスは比較的病気に強いですが、注意が必要な病気もあります。
- うどんこ病
一般に、病気は泥跳ね、密植、加繁茂、多湿などが原因となります。
病気の予防のためにできる工夫
うどんこ病には風通しと日当たりの悪さが大敵です。
過密な植栽を避け、風通しを良くすることが重要です。
風通しが悪くなると多湿にもなりがちです。
肥料の与えすぎも良くありません。
特に、窒素肥料や土壌水分が過剰だと、葉が茂りすぎる加繁茂になってしまい、風通しが悪くなり、葉に日光が当たりづらくなってしまいます。
コスモスにつきやすい虫
定期的に植物を観察し、大きな問題を引き起こすような虫がついていないかチェックすることも重要です。
コスモスは比較的虫の被害は少ないですが、次の虫には注意が必要です。
- アブラムシ
- ナメクジやヨトウムシ
害虫のためにできる工夫
アブラムシがたくさんついているときには、テントウムシに助けてもらいましょう。
ナナホシテントウやナミテントウといったテントウムシは、成虫も幼虫もアブラムシを食べます。
テントウムシがやって来てくれて、繁殖してくれれば、アブラムシの問題はすぐに解決します。
困ったときには、テントウムシを探してみましょう。
テントウムシを見かけたら、アブラムシがたくさんついてしまっているところへ、そっと移動してもらうといいですよ。
成虫は翅があるので気ままに飛んで行ってしまいますが、幼虫には翅がないので、そこに留まってくれます。
また、コスモスの苗がまだ小さい時期は、ナメクジやヨトウムシにも注意してください。
ナメクジは夜行性なので、昼間は鉢底などに隠れています。
ヨトウムシも夜行性で、昼間は土中や株の地際に潜んでいます。
見つけたら、どこか遠くへ移動してもらってください。
コスモスの増やし方
コスモスは種まきで増やすのが一般的です。
挿し木も可能なので、摘芯剪定したときなどに、チャレンジしてみてください。
種まき
コスモスの種まきの難易度は易しいです。
発芽適温は15~20度くらい。
種は大きく、発芽率が高いため、直まきもできます。
覆土は厚すぎないようにし、発芽するまで蒔き床が乾かないように管理します。
環境にもよりますが、発芽日数は5~7日くらいです。
挿し木
初夏や初秋に、2~3節ほどに切って水あげした茎を、挿し木用土などの清潔な土に挿します。
発根促進剤などを使いたい場合いは、メネデールなど農薬扱いではない商品がオススメです。
葉が大きい場合は、蒸散を防ぐために半分ぐらいにカットすると良いでしょう。
発根するまでは、挿し床が乾かないように管理します。
より効果的に蝶を招くには
コスモスは蝶にとって非常に魅力的な植物ですが、他の蝶を惹きつける植物も組み合わせて植えることで、より豊かなバタフライガーデンをつくることができます。
蝶を惹きつける植物には、大きく分けて「蜜源植物」と「食草」の二種類があります。
コスモスと一緒に植えたい、蝶の蜜源植物
蝶の蜜源植物には、コスモスのように身近なものがたくさんあります。
- 百日草(ジニア)
- 千日紅
- マリーゴールド
- ブルーサルビア
- メランポジウム
- フロックス
- モナルダ(タイマツバナ)
- リアトリス
- フジバカマ
- エキナセア
- ブッドレア(バタフライブッシュ)
- バーベナ・ボナリエンシス/バーベナ・リギダ
- ランタナ/コバノランタナ
- ムシトリナデシコ(コマチソウ)
蜜源植物は、この他にもまだまだあります。
いくつか組み合わせて植えることで、蝶にとって、より魅力的なガーデンをつくることができます。
蝶が好きな花「蜜源植物」を扱った記事を一覧で紹介しています。
蜜源植物について書かれた『蝶が来る庭』という本の紹介記事です。
蝶を呼ぶ力は、食草が最強
蝶の幼虫は特定の植物を食べて成長します。
それらの植物のことを「食草」や「食樹」といいます。
蝶のメスは卵を産むために自分たちの食草を探しているため、食草を植えることで、蝶がやって来る確率はぐっと高まります。
蝶の種類によって、食草の種類も違います。
例えば、アゲハチョウならミカン科の植物、モンシロチョウならアブラナ科の植物が食草です。
住宅地の庭やベランダにもやって来る「身近なチョウ」の中で、ガーデンに呼んでみたい蝶がいるのなら、その蝶の食草を植えてみてください。
幼虫が苦手でない方には、オススメの方法です。
お庭やベランダにもやって来る「身近な蝶」を扱った記事を一覧で紹介しています。
チョウの幼虫の「食草」を扱った記事を一覧で紹介しています。
蝶が好む環境作り
バタフライガーデンを魅力的なものにするためには、蝶が好む環境を整えることも重要です。
例えば、日当たりや植物の茂り具合を蝶の生息環境に寄せてデザインしたり、休憩場や風よけとなる低木や茂みをつくったり、自然と調和するエコなガーデニングを模索したり。
あれかこれかと、蝶のおもてなしを考え出すと、楽しみは尽きません。
お庭やベランダを、バタフライガーデンに
この記事では、蝶が好むコスモスの種類や栽培法、より多くの蝶をガーデンに招くためのポイントについてご紹介しました。
コスモスは、蝶にとって魅力的な花であり、ガーデンに植えることで、多くの蝶を引き寄せることができます。
植物は本来、蝶や蜂などの受粉者を引き寄せるために花を咲かせています。
バタフライガーデンでは、植物や蝶の美しさを堪能できるだけでなく、自然の営みの中に、自分が一員として繋がっているような喜びを感じることができます。
蝶が好むコスモスをガーデンの一角に植えることから、バタフライガーデニングを始めてみませんか?
バタフライガーデンづくりの最初の一歩はこちらの記事からどうぞ。