ランタナは蝶が好きな花! 特に好まれる種類や育て方や挿し木について
ランタナは初夏から晩秋まで長い期間、ガーデンで色鮮やかな花を咲かせてくれます。
園芸店には魅力的な色のランタナがたくさん並んでいて、多くのガーデナーから愛されていますよね。
実は、ランタナは蝶にとっても魅力的な花なのです。
花の蜜が豊富で、蝶が蜜を吸いやすい花の形をしているので、蜜源植物として蝶からも好まれています。
蝶が好きな花を植えると、お庭やベランダにも蝶はやって来ます。
ランタナをガーデンに植えて、咲いた花を蝶と一緒に楽しむ「バタフライガーデン」を始めてみませんか?
この記事では、蝶に好まれるランタナの選び方や、育て方のポイントなどを前半で紹介し、後半では、より多くの蝶をガーデンに招くためのポイントを紹介しています。
蝶が好きな花、ランタナ
ランタナの花は、小さな花がたくさん集まって1つの花のように咲いています。
クマツヅラ科の常緑小低木で、原産地は中南米、暑さに強いですが、寒さにはやや弱い性質を持っています。
開花期間が長く、5月~11月ごろまで、次々と花を咲かせてくれます。
園芸店などで一般的に流通しているランタナは、ランタナ・カマラ(Lantana camara)で、花色が変化することから七変化とも呼ばれています。
ピンク・黄・橙・赤・白など、鮮やかな色が印象的ですよね。
ランタナにはコバノランタナ(Lantana montevidensis)という種類もあります。
名前の通り、葉や花がランタナよりも少し小ぶりで、枝は細く伸びて匍匐します。
こちらは薄紫や白色のものがよく出回っていると思います。
コバノランタナも蝶にとても人気があります。
蝶はランタナ全般にやって来るとは思いますが、その中でもより蝶に好まれる品種を選びたいですよね。
蝶が好むのは、昔ながらのランタナ
蜜が多くて良質な花が、蝶にとって理想的な訪花対象となります。
蜜が豊富なのは、あまり改良が進んでいない品種です。
品種改良は、美しい見た目にするためや、育てやすい強健な性質を手に入れるためなど、人間にとっての有用性を目的に行われています。
その過程で、蜜が退化していくことも多く、園芸品種の中には蜜で昆虫を惹きつけなくなってしまっている花もあるようです。
蝶と共に楽しむという観点からランタナを選ぶ場合は、本来のランタナに近いものを選ぶと良いでしょう。
とは言っても、ランタナの場合、見た目では改良の具合はわかりずらいですよね。
私は何種類かのランタナを育てていますが、そんなに違いがないようにも思います。
念のため私が意識しているのは次の点です。
- 人間向けの審美的改良を強く売りにしていない
- 色や形がシンプルで素朴な感じ
- なかには「蝶がやってくる」とうたっている品種もある(PWのスーパーランタナなど)
蝶は蜜を紫外線や花色で見つける
蝶は紫外線を見ることができるので、人間とは違う色彩の世界を見ているようです。
紫外線によって蜜があるかどうかを見分けられるのです。
同時に優れた色覚を持ち、色でも花を見ているようで、蝶の種類によって好む色が違うとも言われています。
どの花色に、どんな蝶が良く来ているか、そんなことを観察してみるのも楽しいですよ。
ランタナにやって来る蝶は小型~大型まで幅広い
蝶は小型のものは地面近くで活動する傾向があり、大型のものは高くまで舞い上がるように飛ぶ傾向があります。
ランタナは小低木なので、地植えや大きめの鉢で育てると背丈も高くなり、高い位置に花を咲かせますが、低い位置の枝にも花を咲かせるため、小型~大型まで様々な蝶が集まりやすいと思います。
また、コバノランタナは匍匐性があるので、つりポットなどでハンギング仕立てにして、蝶の様子を見ながら良い塩梅の高さに設置するのもおすすめです。
ランタナやコバノランタナは日当たりの良い場所で管理する植物なので、日当たりを特に好む蝶が多くやって来ます。
私のガーデンのランタナたちには、アゲハ、キアゲハ、ツマグロヒョウモン、モンシロチョウ、イチモンジセセリ、チャバネセセリがよく来ています。
ランタナの育て方
ランタナを美しく健康に育てるためには、適切な植え方と丁寧なケアが必要です。
蝶と共にランタナを楽しむバタフライガーデンの場合、植物が病気になっても農薬が使えないので予防が大切です。
花を長く楽しむためにも、適切な管理を行いましょう。
ランタナを健康に育てるための覚書
- よく日光に当てた方が花付きが良くなる
- 開花中の株は水切れに注意する
- 冬の水やりは控えめに、乾かし気味に管理
- 花期が長いので、適宜肥料を与え、サポートする
- 根詰まりすると花付きが悪くなるので、鉢植えは適宜植え替えをする
- ランタナ・カマラの系統は種がつかないように、花がらをこまめに取り除く
- 寒さにやや弱いので、霜に当てないように冬越しする
コバノランタナはランタナより少し寒さに強いのか、霜に当てなければ屋外でも葉を残して越冬できます。
秋の早い時期に冬越しのための剪定を済ませて、枝先に蕾がある状態で越冬させることができれば、春の早い時期から花を咲かせることができます。
春はまだ花が少ない時期なので、蝶に喜ばれますよ!
バタフライガーデンでは病害虫の予防が大切
蝶のようなサイズの命は農薬の影響をすぐに受けてしまうので、バタフライガーデンでは、農薬を使うことができません。
蝶と一緒に花を楽しむ場合は、植物が病気になる前の予防に努めましょう。
ランタナがかかりやすい病気
ランタナは比較的病気に強く、とても育てやすい植物です。
植物の病気は、泥跳ね、密植、加繁茂、多湿などが原因となることが多いので、念のため意識しておくと良いかもしれません。
ランタナにつきやすい害虫
ランタナは比較的害虫にも強く、とても育てやすい植物です。
定期的に植物を観察し、大きな問題を引き起こすような虫がついていないかチェックしておくと安心です。
ランタナの増やし方
ランタナは挿し木で増やすのが一般的です。
初夏や仲秋の頃、挿し木用土などの清潔な用土に、2~3節ほどに切って水あげした枝を挿します。
発根促進剤などを使いたい場合いは、メネデールなど農薬扱いではない商品がオススメです。
葉が大きい場合は、蒸散を防ぐために半分ぐらいにカットすると良いでしょう。
発根するまでは、挿し床が乾かないように管理します。
より効果的に蝶を招くには
ランタナは蝶にとって、とても魅力的な植物ですが、他の蝶を惹きつける植物も組み合わせて植えることで、より豊かなバタフライガーデンを作ることが可能です。
蝶を惹きつける植物には、大きく分けて二種類あります。
「蜜源植物」と「食草」です。
ランタナと一緒に植えたい、蝶の蜜源植物
蝶の蜜源植物には、ランタナのように身近なものがたくさんあります。
- 百日草(ジニア)
- コスモス
- マリーゴールド
- センニチコウ
- ブルーサルビア
- メランポジウム
- フロックス
- モナルダ(タイマツバナ)
- リアトリス
- フジバカマ
- エキナセア
- ブッドレア(バタフライブッシュ)
- サンジャクバーベナ
- ムシトリナデシコ(コマチソウ)
蜜源植物は、この他にもまだまだあります。
いくつか組み合わせて植えれば、きっと蝶に喜んでもらえますよ!
蝶が好きな花「蜜源植物」を扱った記事を一覧で紹介しています。
蜜源植物について書かれた『蝶が来る庭』という本の紹介記事です。
蝶を呼ぶ力は、食草が最強
蝶の幼虫は特定の植物を食べて成長します。
その植物のことを「食草」や「食樹」といいます。
蝶のメスは卵を産むために自分たちの食草を探しているので、食草を植えると、蝶がやって来る確率はぐっと高まります。
蝶の種類によって、食草の種類も違います。
アゲハチョウならミカン科の植物、モンシロチョウならアブラナ科の植物が食草です。
「身近なチョウ」と言われているような、住宅地に建つ家の庭やベランダにもやって来る蝶の中で、ガーデンに呼んでみたい蝶がいるのなら、その蝶の食草を植えてみてください。
きっと食草が力を発揮してくれるでしょう。
幼虫が苦手でない方には、オススメの方法です。
お庭やベランダにもやって来る「身近な蝶」を扱った記事を一覧で紹介しています。
チョウの幼虫の「食草」を扱った記事を一覧で紹介しています。
蝶が好む環境作り
バタフライガーデニングに挑戦したくなったなら、意識した方が良いポイントもいくつかあります。
日当たりや植物の茂り具合を蝶の生息環境に寄せてデザインしたり、休憩場や風よけとなる低木や茂みをつくったり、自然と調和するエコなガーデニングを模索したり。
あれかこれかと、蝶のおもてなしを考え出すと、楽しみは尽きません。
お庭やベランダを、バタフライガーデンに
この記事では、ランタナの種類や生態や栽培法や、より多くの蝶をガーデンに招くためのポイントをご紹介してきました。
植物は、本来、蝶や花蜂など、受粉してくれるものを惹きつけるために花を咲かせています。
バタフライガーデンでは、植物や蝶の美しさを堪能できるだけでなく、自然の営みの中に、自分が一員として繋がっているような喜びが得られます。
蝶が好むランタナをガーデンの一角に植えるところから、バタフライガーデニングを始めてみませんか?
バタフライガーデンづくりの最初の一歩はこちらの記事からどうぞ。